ポール・ハリスは1868年4月19日、ミシガン湖畔にあるラシーンという町に生まれました。父ジョージは社交的な性格でしたが経済観念に乏しく、祖父の援助で開業したドラッグストアも倒産に追い込まれて1871年に一家は離散し、3歳のポールはバーモント州、ウォーリングフォードの谷間にある父方の祖父母の家に預けられました。ポールは、厳格でありながら愛情に満ちた祖父母のもとで成長し、ここで誠実、質素、寛容、無私という精神を身に付けました。この少年時代の体験がポールのバックボーンを形成して、ロータリーの理念に大きな影響を与えることになります。
少年時代のポールは悪戯好きで冒険心に富み、退学処分を受けたりもしましたが、やがて教育熱心な祖父の期待に応えて天性の素質を開花させ、名門校プリンストン大学に入学しました。しかし、翌年祖父が死去したためにプリンストン大学を去り、1年間働いてから祖母の希望に従い、弁護士になるためにアイオワ州立大学に入学して、1891年に法学部を卒業しました。
その後、5年間の放浪生活で人生を学び、また勤務先では引き留められましたが、経済的理由からではなく「本当の人生を生きるために」シカゴに落ち着く決心をして、1896年に法律事務所を開きました。シカゴの街で親友のない淋しさに耐えられなかったポールは、ある晩仲間の弁護士と郊外を一緒に散歩した時に、その弁護士が付近の商店主たちと親しく挨拶を交わすのを目撃して、故郷ウォーリングフォードの生活を思い出し、「実業家が友人関係を築き、同時に仕事の取引も出来るクラブ」を作ることを思い付いたといわれます。彼は後年、「ある意味では、ロータリーは故郷の谷間から生まれました」と書いています。
この着想を数年間温めていたポールは、1905年2月23日、3人の若い実業家を誘い、お互いに故郷の村で経験したような助け合いを推進し、親睦を深める方法についての彼の計画を打ち明け、全員賛成のもとにロータリー・クラブを創立することになります。こうして「相互扶助」と「親睦」からスタートしたロータリーでしたが、それに飽きたらなくなった会員たちによって、「奉仕」の概念がロータリーに導入されるようになりました。その時、古参会員たちの反発もあった中で、ポール・ハリスは新しい会員たちの側に立って、そうした奉仕の概念を採り入れ、今日のロータリーの基礎を固めました。
ポール・ハリスは1891年、23歳でアイオワ大学を卒業し、法学の学位を取得しました。その時、同期の多くの仲間は弁護士として開業をしました。しかし、ポールは大学の講師が「まず小さな町に行って5年位、愉快に過ごし、その後に弁護士開業をすべきだ」と述べたことに従いました。ポールはお金がないので、アルバイトをしながら5年間をかけて、アメリカの各地だけでなく、外国も見てこようと決心しました。
まず西部に向かい、どんな仕事でも引き受け、山でも荒野でも分け入り、長距離を歩き通し、貧困のどん底の時には野宿をしたり、大都市の通りをほっつき歩くこともありました。時には飢餓状態に陥り、窮乏生活を味わう日々もありました。サンフランシスコでは地方の新聞社のフリー・ランサー(自由契約記者)になりました。もちろんサンフランシスコにはベテラン記者があふれていたのですが、ポールにはニュースに対する嗅覚があり、すぐれた文章スタイルだったということです。
一時、マラリアにかかり、休養をとらざるを得ませんでした。その後、南部諸州ではピープルブ劇場で役者をしたり、カウボーイになったり、新聞記者をしたり、ホテルの夜勤事務員になったり、農作業もしました。心配した友人からは「頭が変になったのではないか」という手紙さえきました。比較的長く勤めたのは大理石のセールスでした。1893年には首都ワシントンで臨時記者もしています。フィラデルフィアでは新聞の求人広告を見て、イギリス船籍バルチモア号の家畜係になってイギリスに渡りました。
家畜係なので労働条件は非常に悪く、他の乗組員には荒くれ男もいました。しかし、それに負けることなく、後には船員を監督する副主任としてイギリスに再び行っています。その後1896年にハリスは失業者のあふれていたシカゴに定住して、放浪は終わります。
ロータリーの創立者としてのハリスの生涯を振返ってみると、この放浪は決してむだな5年間ではなかったと考えられます。この5年間の体験によって、ハリスは祖父母から教わった人間の尊厳というものが、いかに尊いかという認識を深めました。また、この体験を通して、世の中の多様性への洞察力を得ました。
不況で荒れすさんだシカゴで、あたたかい人間関係を求めていた青年弁護士ポール・ハリスが3人の仲間と共に、最初の会合を持ったのが1905年2月23日でした。丁度今から100年前になります。 この4人は互いの事務所で「輪番」に会合を開きました。当初の目的は親睦と相互扶助でした。この4人のグループの名称を「ロータリー」と、会員を「ロータリアン」と呼びました。新たなメンバーが加わり、正式にシカゴ・ロータリー・クラブを組織しました。しかし、多忙な職業人が毎週集まるためには目的に職業奉仕と、恵まれない人々への援助も加えられました。
それが初期ロータリアンの努力の成果として、「超我の奉仕」と「最もよく奉仕する者、最も多く報いられると」という標語にまとめられました。 クラブ数が多くなるにつれて、ロータリー・クラブ全米連合会、ロータリー・クラブ国際連合体、そして国際ロータリーと発展してきました。国際ロータリーの第一の目的はロータリーの綱領を推進するために世界中のクラブを支援することです。 ロータリーの奉仕を導く羅針盤として「ロータリーの綱領」が作られています。
奉仕はクラブ奉仕、職業奉仕、社会奉仕と国際奉仕に分離されます。クラブ奉仕は土台となり、親睦、例会、ロータリー情報や広報、会員増強などです。職業奉仕は「四つのテスト」を実行し、倫理向上に努めています。社会奉仕は地域のニーズに応じ、国際奉仕は国際理解と平和を求めたものです。 ロータリー財団の使命は地域レベル、全国レベル、国際レベルの人道的、教育的、文化交流プログラムを通じてロータリーの綱領と使命を実行するものです。
国際ロータリーの立法機関としては3年毎に規定審議会が民主的に開催されます。その決定は「手続要覧」に記されます。ロータリー・クラブは2004年12月末現在で世界の166カ国にクラブ数32,176、会員総数は約121万人です。2005年6月現在、世界のロータリー国数は2カ国増えて168カ国になりました。
日本では2005年2月末現在クラブ数は2,329、会員数はおよそ103,591人です。これは世界の会員数の8.5%になります。女性会員数は世界で既に15万人を超え総会員数の12.5%を占めています。女性のガバナーも世界で66人と増加し、まもなく女性のRI理事や会長も夢ではなくなりました。時代の変化と共に多様性が求められています。
RIに加盟するに当たって、ロータリー・クラブはクラブ定款として標準ロータリー・クラブ定款を採択しなければなりません。クラブ細則については、推奨ロータリー・クラブ細則が推奨されていますが、クラブ定款および国際ロータリーの定款、細則と矛盾しない限り、クラブ自身の事情に応じて変更することができます。もし疑問がある場合は、その変更案をRI事務総長に提出してRI理事会の審議を乞わなければなりません。
しかし、1922年ロサンゼルス国際大会で、「今後RIに加盟するすべてのクラブは『標準ロータリー・クラブ定款』を採用しなければならない」と決定されましたので、1922年6月6日より前にRIに加盟したクラブおよびRI試験的プロジェクトに参加しているクラブは、そのクラブ独自の標準ロータリー・クラブ定款およびRI細則の下に運営する資格を有することとなっています。
クラブ定款は、クラブの名称、クラブの所在地域が明記され、ロータリーの綱領を全面的に受け入れることなどが定められています。またクラブ例会、会員身分、職業分類、出席、クラブ理事会の構成と役割、入会金および会費などの支払い義務についても決められています。更に、また、クラブ定款には会員である義務として、ロータリー雑誌の購読、綱領の受諾とクラブ定款・細則の遵守、仲介及び調停、地域社会・国家および国際問題などについての規定も含まれています。
推奨ロータリー・クラブ細則は、上述したとおり、そのまま採用するよう義務づけられるものではありませんが、クラブ理事および役員の選挙、理事会、役員の任務、会合、入会金および会費、裁決の方法、委員会の構成と任務、財務、会員選挙の方法、決議、議事の順序並びに改正などが詳しく決められています。
ロータリー・クラブは、その管理主体はクラブ理事会でありますが、RI加盟クラブとして、綱領を遵守し、クラブ定款・細則に則って運営されるものであり、クラブ会員は入会金と会費を支払うことによって、綱領の中に示されたロータリーの原則を受諾し、クラブの定款・細則に従い、その規定を遵守しなければなりません。
会員を増強して奉仕の仲間を増やすためにも、クラブ入会の手続をよく知って頂く必要があります。新会員の入会には、クラブ正会員からの書面による推薦が必要ですが、他クラブからの移籍会員や、他クラブでの元会員は元クラブからの推薦でもよいことになっています。素質のよい会員を迎えるには、クラブ細則に定められた各段階を忠実に守ることが大切です。推奨クラブ細則に従って入会手続を簡単に説明しましょう。
1.何よりも、日頃から未充填職業分類を念頭に置いて、入会候補者の物色を心掛けることが肝要ですが、推薦人として責任の持てる候補者以外は絶対に推薦しないことが鉄則です。正会員が被推薦者の氏名を、クラブ幹事を通じて、書面をもって理事会に提出します。候補者の方から入会を希望してきた場合を除いて、第4段階までは候補者には機密に事を運ばなければなりません。
2.理事会は被推薦者がクラブ定款の職業分類と会員資格の条件を満たしていることを確認します。この際、クラブ理事会は会員選考・職業分類委員会から審査報告を受けるのもよいでしょう。
3.理事会は推薦状の提出後、30日以内に承認・不承認を決定し、クラブ幹事を通じて推薦人に通告します。
4.理事会の決定が肯定的であった場合は、被推薦者にロータリーの目的や会員の特典と義務について説明します。この説明の後で、被推薦者が会員申込用紙に署名し、その氏名と職業分類をクラブに発表することの承諾を求めます。
5.被推薦者の発表後、7日以内に書面による異議申し立てがなければ、入会金を納めることにより会員になります。異議申し立てがあっても、次の理事会の票決で入会が承認されれば、入会金の納付により会員となります。
6.感動的な新会員の入会式と、オリエンテーションを行い、会員証を発行してRIに報告します。
最も重要なことは、新会員がクラブに溶け込めるように最大の努力をすることであり、会長は新会員を援助する会員1名を指名し、新会員をクラブ・プロジェクトや行事に参加するよう勧めます。入会後間もない時期の新会員に対するきめ細かな配慮が、将来の退会防止に大きく役立つでしょう。
国際ロータリー(Rotary International、以下RI)は、RI定款およびRI細則に従って結成された現に存在するロータリー・クラブ(以下、クラブ)によって構成されています。クラブの理事会はクラブの管理主体です。クラブ会長は、クラブを代表すると同時にクラブ運営管理の責任があります。クラブ会長、各役員および各理事は、いずれも、本クラブの瑕疵なき会員でなければなりません。クラブ会長は、クラブ全体を指導する能力を持ち、かつ、会員の尊敬と信頼を有する者となっています。
そして、会長エレクト研修セミナー(PETS)と地区協議会(地区協)に会長エレクトとして必ず出席し、かつ、いつでもクラブを指導し、クラブの事務を執るのに必要な時間と労力を捧げ得る者となっています。また、任務に就く前の年度に、会長職の実習期間を通じて与えられた役割を務めたことがある者、自己のクラブの理事あるいは一つまたはいくつかの主要な委員会の委員もしくはクラブ幹事を務めたことがある者、1回以上地区大会に出席したことがある者、そして、自己のクラブの定款・細則に関して役立つ知識を有する者といった要件を備えていることとなっています。
なかでも、PETSと地区協への出席は会長就任の必須条件です。申すまでもなく、クラブの運営はクラブ会長のロータリーに対する識見と熱意によって左右されます。ポール・ハリスは次のように述べています。すなわち「世界は絶えず変化しています。そして私たちは世界と共に変化する心構えがなければなりません。ロータリー物語は何度も書き換えられなければならないでしょう。」と。
クラブ会長は、激動する社会の変化に応じた奉仕活動を行うために、地域社会、国際社会の動向を的確に把握し、ニーズを分析して、効果的な奉仕活動を実行するようクラブを指導することが望まれています。そのために、自己のクラブ効果的なクラブとするためには、四大奉仕部門を踏まえ、能率的なクラブ管理を基盤として、会員を維持し増加すること、成果のある奉仕プロジェクトを実施し、ロータリー財団への支援を行い、クラブ・レベルを超えたクラブ指導者の育成を心がけ、実行することが要請されています
「今年度は、楽しい例会にしたい・・」 ほとんどのクラブ会長さんは、そう思い、努力をしていると思います。 しかし、あっという間に1年が過ぎ、果たして何回楽しい例会を行えただろうか。 次年度もほとんど同じ様に過ぎる。たった1時間の例会に、クラブ会員は出席します。 楽しい例会にする責任は、会長さんにあります。 そして、それを支えるプログラム委員会です。それでは、会員が満足する「楽しい例会」とは、どのような例会でしょうか? ◎それは、会員一人ひとりが例会に参加していると感じる例会です。 ◎そして、会員一人ひとりが実際に参加する例会にすることです。 ◎また、ロータリー情報、職業情報を常に伝える例会にすることです。 ◎それによって、会員にとって、役に立つ例会にすることです。 そのような例会にするには、具体的に何をするのか、どうするか・・ということが大変重要です。 例会プログラムについては特別月間などを考慮して、6カ月間の大まかな例会プログラムを作成します。 そして、次は、3カ月間のより具体的なプログラムを委員会と打ち合わせながら作ります。具体的なプログラムの元になるのは、すべての小委員会(クラブによって異なりますが最低15以上あると思います)の活動です。 その全小委員会が1カ月又は最低2カ月に1回、必ず委員会を開いてもらいます。 会長がお願いをし、実行してもらいます。 委員会の会議の内容は、1. 委員会の役割、何をやらなければならないか を委員の間でシェアーする(ロータリー情報)、2. 奉仕プログラムに会員が参加するために、委員会として、何時、何を、どの様に行動していくかを討議する。 3. 委員会以外のロータリー関連や職業・仕事関連、経済関連、その他の話題を話し合い、委員同士理解しあう機会とする。(少人数が良い) そして、委員会で、討議したこと・話題に出たこと・・感想などすべての事柄について、例会で報告をし、意見を聞くなどして例会を組み立てていけば、楽しく役に立つ例会になっていくと思います。
クラブ協議会は、クラブの主要な計画作りを相談するための組織会合で、クラブのプログラムと活動もしくは会員教育について協議するために開かれます。クラブ協議会では、長期計画の立案、委員会活動の調整、クラブ計画がどのように正確に実施されていかの認識、創意に溢れた解決策および活動を刺激する打ち解けた討議、ロータリーとプログラムに関する継続的な教育、クラブの強い点、弱い点の定期的な検討が可能となります。
また奉仕プロジェクトや活動、会員増強、退会防止、地区大会や他の会合への出席などについて話し合い、さらに会員の教育の場となり、会員の奉仕活動への関心を喚起します。 クラブ協議会は、クラブ役員・理事・委員会委員長を含むクラブ会員の会合で、クラブの全会員の出席が要請されます。 クラブ協議会では、クラブ会長、あるいはその指名を受けた役員が主宰します。 クラブ協議会は、多くのクラブで毎月開催されていますが、1年間に次にあげるスケジュールで少なくとも4回、できれば6回開催するのが最も望ましく、効果的であるといわれています。
地区ガバナーは、就任日の24カ月以上30カ月以内に選出されます。地区ガバナーは、RI理事会の方針とRI定款細則に従って、地区内クラブを直接監督します。地区ガバナーは、RI役員として、RI理事会の総括的管理下に置かれます。地区ガバナーは、RIの管理に沿って、地区内クラブがロータリーの奉仕の理想を遂行するよう援助します。地区ガバナーは、任期中、新クラブの結成と会員増強を奨励し、ロータリー財団プログラムへの参加と財政支援を推進します。
また、地区大会を計画、主催します。ガバナー月信を発行します。地区ガバナーは、ガバナー・エレクトのときに、毎年2月頃、米国で開催される国際協議会に出席しなければなりません。その後2月中に地区チーム研修セミナーを開催し、3月中に、会長エレクト研修セミナー、4月もしくは5月に地区協議会を開催します。ロータリアンが地区ガバナーに指名される資格条件は何でしょうか?
まず、クラブの正会員でなければなりません。就任までに少なくとも7年間ロータリー・クラブに在籍しなければなりません。1年間ロータリー・クラブ会長を務めていなければなりません。2004年規定審議会の決定により、新クラブの加盟認証日から6月30日までの期間が6カ月以上あれば、その創立会長は、ガバナーに指名される資格があります。また、ロータリーについての実際的知識があり、管理能力には定評があり、かなりの時間とエネルギーをロータリー責務の遂行に費やす意思がなければなりません。
地区ガバナーは、年度終了後3カ月以内に地区の財務報告を、地区内各クラブに提出しなければなりません。財務報告は、資格を備えた第3者の会計士が点検したものでなければなりませんが、監査は不要になりました。その年次報告は、すべての地区内クラブの代表者が出席するような地区会合で採択します。このような地区会合が開かれない場合、次年度の地区大会で採択します。
年次地区大会の目的は、親睦活動、感銘を与える講演、および地区の問題並びに国際ロータリー全般に関する事柄の討議を通じて、ロータリーのプログラムを推進することにあります。地区大会はロータリーのプログラム、および地区やクラブの活発な活動を最高によく見せる展示場のようなものです。地区大会は地区内の会員基盤を維持し、増強を図る良い機会であることを認識し、士気を高揚する方法で情報を提示し、かつロータリーの親睦を深めるような雰囲気を作り出さねばなりません。 また、地区大会では、3年に一度開催されるRI規定審議会で審議される立法案を提出する権限もあります。 次回の規定審議会に提出されるすべての立法案は地区で審議の上、承認されたことを明記した証明書を添付することになりました。
地区大会には次のことを推奨されます。
なぜ、ロータリーの雑誌を読まなければならないのでしょうか? その答えを出すためには、まず、ロータリーの雑誌に何が書かれているのかを知る必要があります。
アメリカ・エバンストンにある国際ロータリー(RI)世界本部で編集・発行している『THE ROTARIAN』は、ロータリー唯一の機関誌で、ここにはRI会長の考えやRIでどのような活動に取り組んでいるのか、といった記事が掲載されています。また、世界中のロータリアンの活動を知ることもできます。
このほかにロータリーでは、全世界で31の地域雑誌か発行されています。『ロータリーの友』はその地域雑誌の一つで、日本のロータリアンのために日本語で発行されています。地域雑誌は、『THE ROTARIAN』から、指定されたいくつかの記事を翻訳して掲載する義務があります。『ロータリーの友』には「RI指定記事」と表示しています。「RI指定記事」は、全世界のロータリアンで共有する必要のある記事で、各クラブの基本的な活動に関係ある記事が多く見受けられます。
一方、地域雑誌には、発行している国または地域のロータリー活動や文化を反映した記事も掲載されています。『ロータリーの友』には、日本国内のロータリークラブや地区の活動、ロータリアンの意見が掲載されています。
ロータリーには、さまざまなロータリアンがいます。さまざまなロータリークラブがあります。ロータリアンは、毎週の例会で、同じクラブの会員同士、情報交換をしたり、友情を深めたりすることができます。地区大会やそのほかのさまざまな機会に、地区内の状況を知ることができます。しかし、国内すべてのロータリークラブを実際に訪問したり、それらのクラブの会員と意見交換をしたりするのは、容易なことではありません。まして、全世界のロータリアンとなるとなおさらです。
『ロータリーの友』を通して、RI会長の方針やRIの動静を知るとともに、日本全国、全世界のロータリークラブ、ロータリアンを訪問しましょう。ロータリーの世界が広がります。皆さんは、もう、最初の問いの答えを見つけることができたに違いありません。
(財)ロータリー米山記念奨学会は、勉学、研究を志して日本に在留している外国人留学生に対し、日本全国のロータリー・クラブ会員の寄付金を財源として、奨学金を支給し支援する民間の奨学財団です。
1967年に財団法人として設立の許可を受け、これまでに世界104の国・地域出身の12,707人(2005年4月現在)におよぶ外国人留学生を支援し、今日では、事業規模と採用数において、民間で最大の奨学団体(*)となっています。
(*)(財)助成財団センター発表の助成等事業費上位100財団(2003年度)において、米山奨学会は年間助成額:17億円で第3位、民間主導型財団では第1位となっています。
米山奨学事業の歴史は、50年以上前にさかのぼります。
敗戦後の復興が続く1952年、日本のロータリーの礎を築いた米山梅吉氏の功績を記念して、東京ロータリークラブによって「米山基金」が設立されました。日本のロータリーが国際ロータリーに復帰して3年後、米山梅吉氏がそれを見ずして、奉仕に捧げた生涯を終えてから6年後のことです。米山梅吉氏が生前、東南アジアに深い関心をもっていたことから、ロータリー財団の国際奨学制度に模して、アジア諸国から奨学生を招致しようというのが基金設立の目的でした。そして、2年にわたる募金活動の後、1954年にタイから第1号奨学生となるソムチャード氏を招聘したのです。氏は、東京大学で養蚕学を研究し、帰国してからはタイの蚕糸局に入局、タイシルクの増産に貢献しました。
米山奨学金の創設の目的は、日本が再び戦争の過ちを繰り返さない誓いと、世界に“平和日本”の理解を促すことにありました。留学生が平和を求める日本人と出会い、互いに信頼し合う関係を築き、「世界の懸け橋」となることを願ってつくられたのです。
東京ロータリー・クラブ単独の「米山基金」は、ソムチャード氏を含めて3名の奨学生に奨学金を支給して終結しました。しかし、米山奨学事業そのものは、当時の日本のロータリー指導者たちに共感と賛同をもって受け入れられ、「ロータリーの国際奉仕として最もふさわしい企画(1956年の第60地区大会決議文より)」として、全国のロータリー・クラブの共同事業へと発展的に継承されたのです。
“月に煙草1箱を節約して”を合言葉に、全国に寄付が呼びかけられるとともに、1957年には、財団化を念頭に、全国規模の「ロータリー米山奨学委員会」が組織され、翌年には新組織のもとで、全国の大学から8人の奨学生が採用されました。
10年におよぶロータリアンの献身的な尽力の結果、文部省(当時)より念願の財団法人の許可が下り、1967年7月1日に、財団法人ロータリー米山記念奨学会が設立されました。今日にいたるまで、日本の全地区の多地区合同奉仕活動として、他国に類を見ない大規模な国際奨学事業として発展を続けています。2004年11月の国際ロータリー理事会では、長年、日本のロータリアンがこの奨学活動を通じて世界理解と平和に貢献していることに、称賛が送られました。
(財)ロータリー米山記念奨学会
2005年度の米山奨学生採用数は801人(2005年4月末現在)です。そのうち、博士課程は367人(延長者含む)、修士課程は318人で、大学院生が全体の約86%を占めています。学部生は103人と1割強で、残り13人は、台湾・韓国からの研究員招聘や元米山奨学生の再留学、発展途上国の農村・地域指導者養成など、特別米山奨学金と呼ばれるプログラムの採用者です。
修士・博士課程の大学院生への奨学金額は月額14万円、学部生への奨学金額は月額10万円で、奨学団体の中では比較的高額の水準です。
なお、寄付金収入の減少により、2005年の採用数は前年に比べて2割削減、奨学金額も平均7%削減されています。
~地域の大学と連携し、ロータリアンの“目”で奨学生を選ぶ指定校・大学推薦制度~
ロータリアンが支援するにふさわしい“優秀”な奨学生を選ぶ募集・選考システムとして、2001年10月から、指定校・大学推薦制度が導入されています。これは、地区が指定する大学から、米山奨学生にふさわしい学生を候補者として推薦してもらう制度です。
大学から推薦された候補者を、各地区のガバナーや米山理事、地区米山奨学委員長などで組織する地区選考委員会で面接して、米山奨学生を決定します。
米山奨学生に求められる“優秀性”として、①学業優秀であること、②異文化理解に対する積極的な姿勢、③高いコミュニケーション能力、の3つを重視しています。
ロータリー米山奨学金制度の最大の特徴は、経済的な支援だけでなく、「世話クラブ・カウンセラー制度」を設けて、奨学生の精神面のケアを図っていることです。親善・交流を通じた国際理解を推進する米山奨学事業の要であり、ロータリー・クラブという地域密着の組織だからこそできる重要な特性といえるでしょう。
奨学生には、大学の所在する地区のロータリー・クラブから世話クラブが選ばれます。さらに世話クラブの会員の中から、専任のカウンセラーが1人付いて、奨学生の日常の相談に乗ったり、文化体験の案内役や交流の橋渡しに努めたりして、奨学生の日本での生活が心豊かなものになるように配慮しています。大学の指導教員と連絡を取り合ったり、自宅に奨学生を招いて家族ぐるみで交流したりする例も多くあります。
奨学生には毎月1回世話クラブの例会に参加することが義務づけられており、奨学金もそこで手渡されます。そのほかにも、奨学生には、ロータリー・クラブの例会で母国のことや自分の研究についてスピーチしたり、クラブ・地区の社会奉仕活動、交流会や研修旅行に参加したりと、ロータリーの活動を通じて、日本文化や地域社会と触れ合うさまざまな機会が提供されます。
「世話クラブ・カウンセラー制度」は、国費や他の奨学金制度には無い魅力として、奨学生はもとより、政府・大学などからも注目されています。
(財)ロータリー米山記念奨学会
米山奨学事業はロータリアンによって支えられています。奨学事業費は年間15億円にのぼり、いただいたご寄付はすべて奨学事業のために使われます。日本のロータリアンが、助成額全国3位を誇るまでに育て上げた米山奨学事業ですが、厳しい経済環境と会員数の減少により、寄付金収入は減少の一途をたどっています。
1999年度から2004年度までは、寄付金の減少分を 特別積立金を活用することで補ってきましたが、2005年度にはついに奨学生採用数と支給額の引き下げに踏み切りました。
今後は、これ以上特別積立金を取り崩さないよう、寄付金収入に見合った奨学事業を目指し、事務費削減や補助費の見直しなどを行い、財政の健全化に努めています。
寄付金には普通寄付と特別寄付の2種類があります。
普通寄付金は、全ロータリー・クラブから毎年1月1日および7月1日の会員数分のご寄付をいただいています。寄付行為(財団法人における定款)の「寄付金受領に関する施行細則」に、当会を援助する全ロータリアンから定期的に受領するものと定められ、当会奨学事業の安定的な財源となっています。1人当たりの寄付額は各地区の目標額を達成するため、各クラブで定めていただきます。1967年の財団化当初は「1人当たり月額50円以上(年額600円以上)」で始まりました(当時の大卒初任給:26,150円)。現在は全国平均で年額4,000円となっています。平均金額を上回るようご協力をお願いいたします。
特別寄付金は、個人、法人またはロータリー・クラブから、普通寄付金以外に任意で寄付されるものです。特別寄付金には表彰制度が設けられています。また、個人、法人のご寄付に対しては、所得税および法人税法上の優遇措置が受けられます。あわせて遺言による特別寄付に対しても、相続税法上の優遇措置を受けることができます。
特別寄付金に対する表彰制度は1972年から始まりました。「累計で高額の支援を重ねている会員を特に表彰すべき」との地区からの要請に応えて「米山功労者賞」を設け、地区大会で盾を増呈することにしたのを機に、恒久的な制度として制定されました。
個人寄付に対する「米山功労者」表彰は、ロータリー財団のポール・ハリス・フェロー(米貨1,000ドルで表彰)にならい、当時の為替レートで同額に相当する累計30万円を第1回表彰とし、以降30万円ごとに表彰を重ねる形でスタートしました。しかし、昨今の経済状況を鑑み、米山功労者をより身近な目標としていただけるように、2003年7月より、累計10万円で第1回表彰とする制度に改定しました。その後も10万円ごとに表彰され、第2回表彰(累計20万円)から「米山功労者マルチプル」、第10回表彰(累計100万円)から「米山功労者メジャードナー」と称号が変わっていきます。なお、従来の「米山ファンドフェロー」(累計15万円)は廃止となりました。
また、法人寄付に対しては、累計35万円で「米山功労法人」、累計が100万円に達したとき「米山特別功労法人」として表彰され、クラブには「米山功労クラブ」「クラブ創立記念特別寄付」「達成クラブ」などの表彰があります。
(財)ロータリー米山記念奨学会
ロータリー米山記念奨学会では、「世話クラブ・カウンセラー制度」によって、心の通った奨学事業を実現し、これまでに1万人を超える優秀な奨学生を世に送り出してきました。日本のロータリアンを通じて、ロータリー精神に触れ、心をはぐくんだ米山学友は、いま世界を舞台に活躍しています。
<大使になった米山学友>
崔 相龍(チェ・サンヨン)氏【韓国/1969-72/東京大学大学院/東京日本橋RC,東京城西RC】は、2000年2月から2年間駐日韓国大使を務めました。現在は、高麗大学教授です。1998年2月の金大中大統領訪日時には、日韓共同宣言をつくる過程で政治学者として貢献するなど、新しい日韓の交流に大きな役割を果たしています。
<ガバナーになった米山学友>
第3490地区(台湾)の2005-06年度ガバナーとして、米山学友の許 國文氏【1975-77年度奨学生/徳島大学医学部/世話クラブ:徳島RC】が選出されました。許氏は、台湾・羅東市にある羅東博愛病院の副理事長で、羅東西ロータリークラブに所属しています。
2005年2月下旬にアナハイムで行われたRI国際協議会では、日本人以外でただ1人、日本語セッションに参加。積極的に議論にも加わって、日本のガバナー・エレクトとの交流を大いに深めたとのことです。
なお、米山学友のガバナー誕生は、韓国の林 隆義氏【1997-98年度第3650地区P.G.】に次ぐ2人目で、台湾では初の快挙です。
<日本政府より叙勲を受けた米山学友>
在スリランカの米山学友、チャンドラシリ・フェルナンド氏【1982-84年/東北大学大学院/仙台西RC】は、平成15年度秋の叙勲で、日本政府より勲三等旭日中綬章を贈られました。フェルナンド氏は、国費留学生として来日後、1982-84年に米山奨学金を受けて、東北大学大学院にて公法学を学び、修士号を取得。帰国後は、スリランカ警察庁に入り、現在は警察庁長官の重職にあります。日本・スリランカ間の警察協力推進に寄与したほか、コロンボ市の治安が悪化した際には、在留邦人の保護のために情報提供や警備指導に尽力するなど、まさに母国と日本との懸け橋として活躍しています。
奨学期間を終えてからも、ロータリーとの交流を継続したいと希望する米山学友は少なくありません。このような学友の希望と、地区のロータリアンの支援によって、すでに国内に23、海外に2つ(台湾・韓国)の計25の米山奨学会学友会が設立されています。
学友会活動は、地区と連携した親睦・交流活動が主体ですが、最近では、学友らが自分たちの力を生かして、地域社会に貢献しようという取り組みも増えています。米山記念奨学会は、このような学友会の発展的な活動を歓迎し、積極的に支援していく方針です。
(財)ロータリー米山記念奨学会
米山奨学金制度は、およそ5年ごとに、ロータリアン対象のアンケート調査(基礎調査)を実施して、制度見直しの基礎資料としています。
第1期米山奨学事業基礎調査は1999年に行われ、その結果を基に、多くのロータリアンの論議を経て、「指定校・大学推薦制度」などが確立されました。
第2期基礎調査は、2006年からの制度改編を前提に、2003年に実施されました。1,000人のロータリアンの声を集めたこの調査結果をもとに、米山奨学事業フォーラムを開催して、地区代表者に討議を重ねてもらい、既存制度の検証と新制度の検討を進めました。2005年6月の理事会・評議員会での最終協議を経て、2006年より新制度が施行されます。
①現地募集採用型奨学金の試行 ~日本留学のチャンスを提供し、“懸け橋”を育成~
現行の米山奨学金制度では、すでに日本の大学・大学院に在籍している留学生を対象としています。今回の制度改編プロセスでは、「日本に来ることさえできない人たちにも日本留学のチャンスを与えたい」との声が多く聞かれました。日本に留学しやすい近隣の国や、先進国の人だけでなく、経済的にまだ発展途上で、なかなか日本に留学するチャンスのない国の優秀な人材を支援したいとの希望であり、それを実現するプログラムが、現地募集採用型奨学金の試みです。
このプログラムでは、いわば“丸抱え”で日本に呼び寄せることと引き換えに、奨学期間後は必ず帰国して母国の力となり、同時に日本と母国との友好の懸け橋となることを条件とする予定です。海外からの帰国組が母国で活躍できる環境が整っていることも候補国の条件となり、現在のところ、試験的な実施の候補国としては、ベトナムが有力です。
②地区の裁量で、特色ある留学生支援が可能に
ロータリーの特性を生かした「地域密着型奨学事業」を推進することも、2006年度制度改編の目的です。そこで、地区への奨学生割り当て数の一部に、「地区裁量枠」を設けることを提案します。
地区奨励奨学金(仮称)を新設して、この枠内で、大学・大学院以外の教育機関、例えば、短期大学や高等専門学校、一定の要件を満たした専修学校や日本語学校などで学ぶ留学生を支援の対象とすることを可能とします。近隣に大学がないために、米山奨学生との接点が少なかった地域にも世話クラブを拡げることができ、また、奨学金額は修士・博士課程の半額とする代わりに、1人分の枠で2人採用することができます。
どのような留学生を支援するか、現行制度以上に地区の自主性を尊重しようというのが提案の目的です(奨学金額は、理事会・評議員会で決定される全国統一のものとなります)。
ロータリアンにとって、常に“より身近な奨学事業”であるように、米山奨学事業はこれからも改革と見直しを進めてまいります。新しい米山奨学事業の展開に、引き続き温かいご支援とご協力をお願いいたします。
(財)ロータリー米山記念奨学会
地区協議会の目的は、ロータリー・クラブの次期指導者が任務に備えて準備するためのものであり、クラブ会長、クラブ指導者の能力を育成し、知識を共有し、やる気を起こさせることです。言い換えれば、クラブ管理やクラブ活動においてリーダーの役割と責務を自覚させるものです。
具体的には、
① クラブ会員基盤の維持と増強
② クラブが地域社会における奉仕や国際奉仕のプロジェクトを計画・実行して成功させるための具体的方策を立てるよう奨励し、指導する。
③ クラブがロータリー財団への支援とプログラムへ積極的に参加するよう奨励する。
④ クラブの枠を超えて、奉仕を推進するリーダーを育成する。
地区協議会の参加者は、クラブ会長エレクトおよび次ロータリー年度に指導的役割を果たすよう会長エレクトから任命されたクラブ会員です。
地区協議会のプログラムの構成内容について、RI理事会は、参加者を任務に応じたグループに分け、活動内容についてグループ討議をすることを推奨しています。
①役割と責務、 ② 基本的な原則 一 方針と手続、 ③ チームの選任と研修、 ④ 活動計画の立案、 ⑤ 成功事例の検討、 ⑥ 援助資源、 ⑦ 実際の応用計画、 ⑧ 問題解決
同時に、RI理事会は研修がクラブ指導者の意欲を高め、有益なものになるようにプログラムの立案に際して地域の実情に合わせるように奨励しています。地区協議会の日程は4月もしくは5月に開催される丸1日のセミナーですが、もし地区大会がその時期に開催されるならば、地区協議会と地区大会を連続した会合日程に開催することにします。
この場合、地区大会は後半に行われるものとし、各会合に定められている時間数を減らすことなく、また各会合の必須事項に配慮して行われなければなりません。
国際協議会後に、ガバナー・エレクトは会長エレクト研修セミナー(ペッツ)を開かなければなりません。このセミナーによって、クラブ会長エレクトは、次年度RIテーマを理解し、ロータリー・プログラムを実施する準備が整うのです。PETSの主な目的は、クラブ会長が、RI理事会が定めた効果的なクラブを創り、維持していくために必要な技能、知識および意欲を助長することにあります。
効果的なクラブとは次の四つです。
プログラムは、次の主題及び学習目標を含め、ロータリーの内容に関する本会議とグループ別討議から構成されています:年次テーマの発表、クラブ会長の役割と責務、目標の設定、クラブ指導者の選出と準備活動、クラブの管理・運営、会員の勧誘活動とオリエンテーション、効果的な奉仕プロジェクト、ロータリー財団、参考資料や人材の活用、年度の計画などです。
PETSの参加者は、地区内のクラブ会長エレクト全員のほか、ガバナー・エレクト、ガバナー補佐、地区研修リーダーが含まれています。 ガバナー補佐は、ガバナーを補佐して、自分たちが担当するクラブの会長エレクトがPETSに出席することを推進し、会長エレクト、ガバナー・エレクト、ガバナー補佐との間で、チームの団結を図らなければなりません。日程は3月中に1日半を充て計画されます。
ガバナー・エレクトは、PETSのプログラム全般に対し責任があります。地区研修リーダーは資格を持つ元地区ガバナーおよび地区委員会委員長から構成される地区研修委員会委員と共に、セミナーの計画と実施に責任を持ちます。
国際ロータリー年次大会は、会計年度の最後の3カ月間(4月、5月、6月)に、RI理事会の決定する時と場所において、開催されます。年次国際大会の主たる目的は、国際レベルにおいて、全ロータリアン、特に、次期クラブ会長、ガバナー・エレクト、RIおよびロータリー・クラブの次期役員を、鼓舞、激励しかつ情報を与え、これによって地区レベルおよびクラブ・レベルにおけるロータリーの発展を活発に推進しようとする意欲をかきたてます。年次大会は、また、国際連合体の年一度の会合であり、連合体の業務を執り行います。国際大会は、ロータリー家族の世界的会合であり、国際大会の本来の目的を減じない限り、社交および余興番組でロータリーの親睦を祝うことは、妥当といえます。
この国際大会は、同じ国で3年続けて開かれることはできません。その開催計画の立案は通常4-5年位前から始まっています。これからの国際大会の開催地としては、2006年に、北欧のデンマーク・コペンハーゲンとスウエーデン・マルメで行われ、以後の予定としては、2007年米国・ソルト・レークシテイー、2008年米国・ロサンゼルス、2009年韓国・ソウル、2010年カナダ・モントリオール、2011年米国・ニューオリンズなどが候補地となっています。
RI理事会は、ロータリアンが国籍だけを理由として参加できないことがないようあらゆる努力を払い、まず、大体の開催地域を決め、その地域内の複数の都市に開催申し込みを呼びかけて、いろいろな手続きを経て、開催地の最終決定を下します。この国際大会において、加盟クラブの代議員によってRIの役員が選挙され、代議員は1クラブ1名となっていますが、会員多数のクラブについては、複数の代議員を送ることができる規定があります。
代議員は、自ら投票するほかに、委任状により代理者をたてることもできます。国際大会は本当に国際的な行事であり、参加者総数は、少なくとも、20,000人から35,000人のロータリアンとゲストが参加します。会員はみんな国際大会に参加してロータリーの真の国際性を発見するよう、早くから、ぜひ、参加の計画を立てるよう奨励され、参加者は、国際大会への参加は決して忘れることのできない経験となりロータリーの奥深さを味わうことでしょう。
RIの中央役員は、RI会長、会長エレクト、RI理事と事務総長です。RIの役員は、RI会長、 会長エレクト、副会長、財務長、その他の理事、事務総長、地区ガバナー、および、グレート・ブリテンおよびアイルランド内RI(RIBI)会長、直前会長、副会長、名誉会計です。RIの役員はRI細則の規定に従い指名、選挙されます。RI理事会は、19名のメンバーから構成され、理事会の議長であるRI会長、会長エレクト、17名の理事です。各理事は細則に明記されているゾーン内のクラブから指名され、2年の任期を務めるべく国際大会で全クラブによって選挙され、理事エレクトとなります。従って、各理事は、ロータリーの管理において、全クラブを代表する責務を負います。
2004年の規定審議会では、「事務総長を報酬を受ける唯一の役員と規定する」という立法案が可決され、RIの役員は、事務総長を除き、全員無給です。RI会長は、RIの最高役員です。会長はRIの第1のスポークスパースンであり、国際大会とRI理事会の会合を主宰し、事務総長に助言し、その職責に属する他の任務を行います。RI会長エレクトは、理事会のメンバーとして、また、RI細則に規定する任務および権限のみを持つものとします。但し、会長またはRI理事会はこれにその他の任務を与えることができます。
RI理事は理事ノミニーとして、理事会の定める日程にしたがって、4年おきにゾーン内のクラブ会員から1名指名されます。世界を34ゾーンに分け、日本はゾーン1,2,3,4(A)に含まれています。理事の任期は2年。理事ノミニーは地区ガバナーの経験者の中から選出されます。
地区ガバナーは各地区から地区ガバナー・ノミニーとして選出され、国際大会で選挙されて地区ガバナー・エレクトとなります。ガバナーは、ロータリーの世界で非常に重要な機能を果たしており、ロータリー地区と呼ばれるその地理上の所管区域における国際ロータリーのただ一人の役員であり、この所管区域には通常50、60、多いところでは100クラブ以上が含まれています。ガバナーは、国際協議会で広範囲な訓練を受けた人たちであり、世界の32,000を超えるクラブのためのいわば「品質管理」の機能を果たしています。
国際ロータリーはロータリー全体の管理機構であり、世界中のロータリー・クラブを会員として組織されています。RI理事会はその管理主体であって、構成メンバーはRI会長、会長エレクト、および各ゾーンから選出された17名の理事の計19名で、事務総長は理事会の幹事を務めますが、議事についての投票権はありません。この19名と事務総長を総称して国際ロータリーの中央役員といいます。17名の理事は、世界に34ある各ゾーンにおいて4年おきに、ガバナー経験者の中から1人が理事ノミニーとして指名され、任期開始の前々年度の国際大会で世界中のロータリー・クラブによって理事エレクトとして選ばれます。したがって、理事は選挙区としての各ゾーンから指名されますが、世界の全クラブを代表する責務を負うことになります。
しかし、ゾーンから選ばれるという親近感を生かして、地元ゾーンのガバナーと情報交換をすることが奨励されています。理事の任期は2年で、理事としての再任はありません。理事会はRIの目的の推進、ロータリーの綱領の達成のために必要な基本原則の研究と教育、理想と倫理および独創的組織の保全と拡大などあらゆることを行う義務があります。この目的達成のため、理事会は長期計画を採択し、規定審議会の各会合で、その進捗状況を報告し、ロータリー・ゾーン研究会では理事から発表説明しなければなりません。
RI理事会の権限はRI定款・細則に従って組織の方針を設定し、RIの業務と資金の監督、管理に当たることですが、同時にRIの事務総長が、実務執行の最高管理者として理事会の方針を実施する業績を評定します。RI理事会の職務としては、RI方針の決定、RIプログラムのプラン作り、財務・予算の管理などが挙げられますが、更に組織の擁護者としてRIのスポークスマンを務め、あるいはRIの目的を推進するための先導者の役割を演じる責任があります。
理事会の決定は最終的であり、特別の指定がない限りその決定をした会合の閉会後直ちに発効して、国際大会でクラブが提訴する以外に、これを覆すことはできません。理事会の会合は通常年4回開かれ、第1回の会合で副会長と財務長が選ばれます。理事会は、定例の会合と会合の中間期間中に理事会に代わってRIの方針を決定できる執行委員会を任命します。また、理事は理事会の各委員会に属し、あるいは各RI委員会のリエイゾン・ディレクターを務めます。
ロータリーの奉仕を導く羅針盤は、ロータリーの綱領と呼ばれる原則です。ロータリーの綱領は、有益な事業の基礎として、奉仕の理想を鼓吹し、これを育成し、特に次の各項を鼓吹育成することにある:
第1 奉仕の機会として知り合いを広めること;
第2 事業および専門職務の道徳的水準を高めること;あらゆる有用な業務は尊重されるべきであるという認識を深めること;そしてロータリアン各自が業務を通じて社会に奉仕するためにその業務を品位あらしめること;
第3 ロータリアンすべてがその個人生活、事業生活および社会生活に常に奉仕の理想を適用すること;
第4 奉仕の理想に結ばれた、事業と専門職務に携わる人の世界的親交によって国際間の理解と親善と平和を推進すること。
ロータリーの綱領の歴史は大変古く、その原型はロータリーが誕生した1905年の翌年に早くも作成されています。1906年にシカゴ・クラブがthree points programを採択しました。これが最初の綱領と言えます。一つ目は会員の事業上の利益の拡大、二つ目は親睦、三つ目はシカゴ市への貢献です。その後、ロータリーの発展につれ、この綱領は、奉仕の対象がシカゴから米国全土となり、国際的にと変化していきます。項目の数も五つになったり、六つになったり、何度も変わりました。Point もObjectiveとなり、Objectとなりました。
また、項目が複数であったために、Objectsという複数形sがついていました。1951年にsをとって単数形のObjectとすることが決まりました。その後、1989年規定審議会で女性会員の入会が認められるようになりますと、綱領の中にあるmenがpersonに改正されました。同じ規定審議会で、個人の活動に基づく職業分類が認められて、日本ではその結果、businessを事業、professionを専門職務、occupationを業務と改訳しました。そして「実業人と専門職業人」という訳を『事業と専門職務に携わる人』(英文がbusiness and professional persons、弁護士のポール・ハリスと3人の実業人を連想します)に変えました。その後の変更はなく、現在に至っています。綱領の4項目が四大奉仕部門に相当します。
ロー夕リーの創始者ポール・ハリスは、その自伝「ロータリーへの私の道」の中で「ロータリーの会員は、その一人ひとりが、自分の職業とロータリーの理想とを結ぶ環である」と書いています。ポール・ハリスは、この文章において、職業奉仕について直接触れているわけではありませんが、第二奉仕部門を念頭に置いていることは間違いありません。なぜなら、ロータリーは職業分類の原則に基づく会員組織なのでロータリアンと職業とを切り離して考えることができないからです。クラブ会員は、自己の職業の代表者としてロータリー・クラブに入会したのですから、クラブに対しては自己の職業の代表者となり、ロータリアン以外の人に対しては、ロータリーの精神を普及する責務を負います。この二つの責務が職業奉仕の基盤となります。
ロータリアンは、職業奉仕の基本として、自分に次のように問いかけなければなりません。「他の人にもう少し優しくなり、力になってあげるために、日常の仕事の中で何ができるだろうか」。いわゆる職業奉仕は、日々、この基本を実践しなければならないものだからです。個々のロータリアンがこういった職業奉仕の成果を測る尺度があるでしょうか? 必ずしもあるとはいえません。なぜなら、職業奉仕の分野は、世界中のロータリアンの無数の交流と日々の決断を通じて広がっていくからです。どれも、毎日の仕事に意味を与え、職場に尊敬の念を与えることを目指しています。
世界中のロータリアンが職業奉仕をどのように定義しているか、その例をいくつか紹介します:●「職業奉仕とは、生活の糧を得る方法を、生きがいに変えるものです」●「職業奉仕とは、職場で、そして、生活の中で、ロータリーを生かしていくことです」●「職業奉仕は、職業に誇りをもち、正直かつ品位のある方法で職業を実践しようとするものです」 これらの定義からも分かるように、職業奉仕にはいろいろな取り組み方があります。しかし、基盤は一つです。「ロータリアンは、職業を通じて社会に貢献しなければならない」ということです。
さらに、職業倫理観の重要性と共に四つのテストと呼ばれる職業奉仕の水準を守るよう奨励されています。これは、簡単な四つの設問から成るテストで、職業奉仕だけでなく、すべての奉仕部門、実質上あらゆる生き方に直ちに応用することができます。
20世紀の初期、アメリカでは、「商売は商売だ」「買い手こそ注意しろ」「競争には情無用」「世間が何だ」と、利益が最優先され、野放しの資本主義でした。ポール・ハリスは、ビジネスの中でお互いを助け、成功するように援助し合うことに努力を傾けました。その後、ロータリアンは、高度の職業上の水準があるなら、これを見つけ、採用し、ビジネスにおいて「ロータリアン」というときは、純銀製品に刻印される“sterling”に匹敵しなければならないと認識するようになってきました。このとき、ロータリーは初めて倫理的商取引(現在の職業奉仕)の重要性に注目したのです。
1908年、アーサー・フレデリック・シェルドンはシカゴRCに入会し、「職業は社会に奉仕する手段である」と他のロータリアンに説得しました。程なく、シカゴRCは、「商取引の方法のための委員会」を設置し、シェルドンが委員長となりました。1910年に最初のロータリー大会がシカゴで開かれた時、大会委員長は、出席者にこう語りました:「私たちは、世界において進んで自己の任務を果たし、公徳心を高めたいと願い、職業において高度の道徳的水準を守りたいと思っています」。
大会の閉会時に、シェルドンは、職業倫理の重要性を強調し、腐敗や不正は排除しなければならないことを明らかにし、次のように語りました。「19世紀の商慣習の特徴は、『競争』です。出し抜かれる前に出し抜け、ということです。20世紀に入り、人類は賢くなりました。20世紀の特徴は『協調』です。人間は、英知の光に照らして、正しい行為は報われる。職業は人類の奉仕の科学である。『最もよく仲間に奉仕する者、最も多く報いられる』」ということが分かるようになりました」。
そして、1912年にダルースで開催された国際ロータリー・クラブ連合大会で、模範的クラブ定款5か条が採択され、これが互恵主義からの決別を告げる新しい綱領の基礎となり、そのまま職業奉仕の原則として現在に引き継がれています。次いで、この定款を実行するために「指針」を作成しようということになり、1915年サンフランシスコで開催された第6回国際ロータリー・クラブ連合会年次大会で、「事業のすべての分野に適用すべきロータリー道徳律」が採択されました。
1930年代の大恐慌期に、第2奉仕部門は重大な転換期を迎えました。ハーバートJ.テーラーが四つのテストを創案したのです。商取引の公正さを測る尺度で、以後、多くのロータリアンがこのテストを活用してきました。
1940年以来、多くのロータリアンが、自分の職業、地域、個人レベルにおける言行の尺度として、四つのテストを使用してきました。職業奉仕にふさわしい言葉と認められていますが、問いかけているだけで、答は出していません。
四つのテスト 言行はこれに照らしてから
1)真実かどうか 2)みんなに公平か 3)好意と友情を深めるか 4)みんなのためになるかどうか
世界中のロータリアンがこれを用い、また、他の人たちとこれを分かち合い、教育者、学生、同業者にも、この四つのテストが数多く配布されてきました。
四つのテストは、いかなる意味においても、「規則」として取り扱われてはなりません。また、規範でも教義でもなく、自己評価を促すものです。誓約でもなく、自分を高める飛躍台です。職業上のどのような慣行が許されうるものか、文化によって異なりますが、四つのテストの精神は、あらゆる文化に属する人々の簡単で、実際的な指針となります。
ローターアクトは新世代のためのロータリー・プログラムに属する奉仕活動であり、ローターアクト・クラブというロータリー直営の組織を作って、ロータリーの奉仕の理想を志向する市民と指導者の育成を図るものです。ローターアクト・クラブは、提唱ロータリー・クラブの近隣地域内に居住、就職または通学している18歳から30歳までの青年男女で構成され、RIによって規定された標準ローターアクト・クラブ定款を採用し、提唱ロータリー・クラブの承認を得たクラブ細則を採択することが義務づけられています。したがって、ロータリー・クラブあってのアクトであり、RIは青年の自主性を尊重して、運営と資金調達を自力で行うことを奨励していますが、ローターアクト・クラブに関する最終責任は常にロータリー・クラブにあると言えましょう。特にその維持が重要課題です。
ローターアクト・クラブを提唱することにより、「各ロータリアンは青少年の模範」を如実に実行できるばかりでなく、青少年との相互理解が生まれ、またアクトを指導することによってロータリー・クラブが活性化する場合もあり、ロータリアンとアクターが共同奉仕を行うことには大きな意義があります。戦禍で目に傷を負ったイラク少年・モハマド君の救援に立ち上がった沼津ローターアクト・クラブの活動はそのよい例でしょう。ローターアクト・クラブの結成については、先ずロータリアンの職場で働く職業青年を集めることが一番容易で、これを中心に輪を広げるのが実際的であり、その場合は職業という点でローターアクターとロータリアンが共通の関心を持っているという利点があります。また、奉仕の精神ばかりでなく、ローターアクトの目標の第1に、「専門技術および指導能力の開発」が挙げられています。
こうした課題のためにも、アクトの例会や理事会にロータリアンの同席が求められ、彼らの自主的で意欲的なプロジェクトの実施に力を貸す必要があります。2005年現在で世界の158カ国に、8,000余のローターアクト・クラブがあり、184,000余の会員が、「奉仕を通じての親睦」を標語として活動しています。次代を背負う青少年への奉仕こそ、ロータリアンに期待される最も大きな課題の1つであり、彼らを将来の立派なロータリアン候補として育て上げる心掛けも常に求められています。まだローターアクト・クラブを持たないクラブは、「ロータリアンは青少年の模範」という理念の下にその設立の可能性を検討し、各会員の青少年への関心を高めて新世代奉仕活動の幅を広げましょう。
ロータリーの伝統的な標語「各ロータリアンは青少年の模範」を実行する方法の一つがインターアクト・クラブ (Interact Club:IAC)を提唱することです。インターアクトは「インターナショナル」と「アクション」の合成語です。14歳から18歳の次世代の若者が国際理解増進を目指すだけではなく、友情、自己開発、人格の成長、他人に対する思いやり、家庭と家族の重要性を認識する、地域社会や国さらに世界の問題について知識と理解を深める、地域での奉仕参加をおこなうようにロータリー・クラブが協力します。地域の若者がインターアクト・クラブの基盤となることもありますが、日本では殆どが高校内にIACが作られています。 世界で最初のIACは1962年にアメリカ、フロリダ州のメルボルン高校に設立されました。現在では、118カ国に存在し、約23万人の会員と10,300以上のクラブを世界中に持つインターアクトは、若者の情熱と活気に満ちた奉仕活動で力強いパワーを発揮しています。日本には526クラブがあります。ロータリー・クラブと同様にRIによる「標準インターアクト・クラブ定款」と「標準インターアクト・クラブ細則」によってクラブの運営が行われています。クラブの会費は自分たちで出して、自主的に運営しています。ロータリー・クラブはIACを提唱し、指導と協力をしておりますが、RCとIACが共同で奉仕活動を行うことがより効果的です。むしろ、インターアクト・クラブ会員(インターアクター)はロータリー家族への仲間入りの始まりです。 将来ロータリアンになる可能性があります。ロータリーと同じように、地区インターアクト年次大会やインターアクト指導者講習会があります。 具体的な奉仕活動例としては清掃、環境保全、高齢者ホーム訪問、身体障害者施設訪問、献血運動、貧しい人々への募金活動、薬物への認識を高める運動、ロータリー・クラブでの卓話、国外のインターアクターと交換をし、活動を共にすることで、他の文化を知ります。11月5日を含む1週間は「世界インターアクト週間」に定められています。 日本国内の地区によっては、インターアクターの国際理解を増進する最も効果的な方法として「日韓(台)青少年交換」を行なっています。これは顧問教師の協力を得て、ロータリアンがインターアクターを引率し韓国や台湾などの地区を訪問し、海外のインターアクターと交歓会を行ないます。ロータリアンの家にホームスティを行なう場合もあります。感性の豊かな高校生の交流から、逆にロータリアンが学ぶ事も度々あります。
数ある世界平和と国際理解を推進するNGOの中で、ロータリーほど草の根レベルにおいてその実現のために貢献した団体はありません。それは、ロータリーが国際的な会員のネットワークを持っているからです。世界中のクラブのネットワークによって、世界のあらゆる地域においてロータリアンが奉仕活動を行っています。一個人では世界を変えることなどできないという常識に反し、ロータリアンは、地域社会のみならず、国境をはるかに越えた地域の人々の生活をも向上させる機会に恵まれており、行動しています。
ロータリアンは、ロータリーの綱領の第4項に掲げられた「奉仕の理想に結ばれた、事業と専門職務に携わる人の世界的親交によって、国際間の理解と親善と平和を推進すること」という目的を大切にしており、これはロータリーの国際奉仕活動の推進力となっています。ロータリーでは、創立記念日の2月23日を国際平和活動の理解を深める日として設定しており、その週は世界理解と平和週間と呼ばれています。
世界理解と平和を推進
1921年に、スコットランドのエジンバラで開かれたRI国際大会において、代議員は、ロータリーの綱領を改正し、国際理解と平和の推進を取り入れました。多分、終わったばかりの第1次世界大戦の記憶が、平和への願いを強くしたのでしょう。
ロータリーの国際的ネットワークはロータリアンに世界の問題に取り組む舞台を提供しました。教育および文化の広範囲にわたる交流を検討するためのロータリーの会合が1944年にロンドンで開かれ、国連教育科学文化機関(UNESCO)の創設へと発展しました。
1年後に、50ヵ国の代表が、米国、カリフォルニア州のサンフランシスコに参集し、国連憲章を採択しました。ここに参加した代表団の中には、総勢49人のロータリアンとRI職員がいました。ロータリーと国連の関係は、それで終わったのではありません。国連の最初の12年間で、5名のロータリアンが国連総会の議長を務めました。ロータリーは現在、国連のいくつかの機関並びに国連の主要機関である経済社会理事会(Economic and Social Council--ECOSOC)のトップクラスの「諮問団体」となっています。
ロータリー・クラブは、1962年以来、世界社会奉仕(World Community Service―WCS)プログラムの下に、国境を越えて数多くのプロジェクトに着手し、協力してきました。ある国のロータリー・クラブが、他国のロータリー・クラブのプロジェクトに協力することで、世界社会奉仕が実施されます。協力の発端は、多種多様です。例えば、異なる国の2人のロータリアンが、国際大会で出会い、何げなく会話を始めたことが契機になることもあります。あるいは、クラブが、世界社会奉仕プロジェクト交換にプロジェクトを登録したのが、きっかけかもしれません。
RIウェブ・サイト上の世界社会奉仕プロジェクト交換データベースは、援助を必要とするプロジェクトを実施しようというクラブと、援助を提供しようという海外のクラブを結びつけるものです。この反対の方向で始まるWCSプロジェクトもあります。例えば、日本のロータリー・クラブが、中古の診断設備を有効に使ってくれるところがあれば寄贈したいという地元の医療器具業者がいることを知った時、このクラブは、WCSプロジェクト交換データベースのDIN―現物拠出情報ネットワークに登録します。
このプログラムは、参加ロータリー・クラブの間で好評です。援助を受けるロータリー・クラブは、地元で通常調達できる人的、物的資源の限度を超えるプロジェクトに着手できますし、一方、援助を提供するクラブは、世界の他の地域に奉仕の手を差し伸べ、その状況を向上させることができます。このようにして、プロジェクトに参加するクラブはロータリーの国際性をじかに経験する機会に恵まれ、また海外のロータリアンとの緊密な関係をもつことができます。これらのきずなは、また、新たな奉仕の機会に発展するかもしれません。
2005年の国際ロータリーの100周年を記念して双子クラブプログラムへの参加が奨励されました。二つの異なる国のクラブが国際奉仕のプロジェクトを協同で実施するものです。同じ分野に関心を持っているクラブが双子クラブとなることで奉仕活動が一層推進されます。
日本事務局の歩みをたどりますと、最初は東京文献事務所という名称で、1964年3月に開設されました。英文のロータリー参考資料を翻訳出版し、注文に応じて郵送することを仕事としていました。当時は、翻訳室と資料室の二つがあり、最初の文献代行者は柳瀬省吾氏で、次いで1967年に田 誠氏、1973年に松本兼二郎氏、1978年に入江直祐氏が文献代行者となりました。この優れたロータリアンたちが、今日のロータリー出版物、ロータリー用語の翻訳の基礎をつくりました。
その後、1981年に、文献事務所は日本支局となり、文献代行者という制度は廃止されました。この時、従来の翻訳室と資料室のほかに奉仕室が創設されました。ここから、いわゆるロータリー業務がスタートしました。新クラブの申請、公式訪問の報告などを日本語で記入して提出できるようになったのは日本支局になってからです。
さらに、1985年には在日財務代行者が日本支局に統合され、財務室が創設されました。在日財務代行者制度は日本では廃止されましたが、世界では、まだ米国への直接送金が難しい国もありますので、かなり利用されています。
支局は1995年7月にサービス・センターと名称を変えました。
1999年3月に人件費の高騰を理由として翻訳室が廃止され、出版物はすべて米国で翻訳することになりました。
2000年10月に財団室が設けられ、従来の財務室は経理室と名称を変えました。2001年7月1日より、国際ロータリー日本事務局と改称され、所長の下に資料室、奉仕室、経理室、財団室(特定非営利活動法人ロータリー日本財団を含む)に分かれ、業務を行っております。
ロータリー財団は、1917年、米国ジョージア州アトランタで開催された国際大会において、アーチ・クランフが「全世界的な規模で慈善・教育・その他社会奉仕の分野でよりよきことをするために基金をつくろう」と提案したことに始まり、1928年国際大会でロータリー財団と名づけられ、1931年に信託組織となり、1983年に米国イリノイ州法の法令の下に非営利財団法人となりました。
ロータリー財団を構成する法人会員は国際ロータリーのみであり、ロータリー財団の正式名称は、「国際ロータリーのロータリー財団」です。国際ロータリーと法的に組織は違っても、その目的・使命・活動は両者共に一体のものです。
ロータリー財団は、国際ロータリー会長エレクトを含む理事会メンバーが推薦し、理事会が選出した15名のロータリー財団管理委員によって運営されます。国際ロータリー理事会と管理委員会は密接に連携を取り合い協力しています。管理委員のうち4名は国際ロータリーの元会長です。
ロータリー財団の使命は、2000年2月の財団管理委員会において新しく改訂され、「ロータリー財団の使命は、地域レベル、全国レベル、国際レベルの人道的、教育的、文化交流プログラムを通じて、ロータリーの綱領とロータリーの使命を遂行し、かつ世界理解と平和を達成しようとする国際ロータリーの努力を支援すること」と決定されました。
ロータリー財団の使命である国際活動に、新しく地域レベル、全国レベルの活動を加えることによってロータリー財団の基盤と範囲がさらに広がることになりました。人類は一つです。世界中の貧困や飢餓が減少し、社会が向上し、世界が平和にならない限り、私たちの夢は実現されません。
私たちのロータリー財団が地域社会や国際社会への奉仕をさらに強化、増大していくためには、奉仕活動の充実と資金面の援助が大変重要になります。この両者のバランスが十分よくとれてこそ、初めて貧困や飢餓、疾病や障害に悩み、苦しんでいる全世界の人たちのために奉仕し、世界理解と平和に貢献するという私たちの目的が達成できるのです。
国際ロータリー6人目の会長で、ロータリー財団の父と呼ばれるアーチ・クランフは立志伝中の人物です。1868年にペンシルベニア州カヌートビルの貧しい家庭に生まれ、まだ幼少の頃、オハイオ州クリーブランドに移住しました。家計の足しにするために、12歳で学校を辞めて仕事に就きました。夜間学校に入学し片道4マイルの距離を歩いて通いました。その後、クランフは事業で成功を収め、木材会社、銀行や汽船会社など、数々の企業の社長や副社長に就任しました。
1911年、クリーブランド・ロータリー・クラブの創立会員となったクランフは、ロータリーでも、素晴らしい業績を上げました。1912年にはクラブ会長になり、1916-17年度ロータリー・クラブ国際連合会会長になりました。
クラブ会長としての最後の演説で、クランフは「クラブが今後多くのことができるよう、非常時基金を築く必要がある」と提案しました。彼はその後、国際ロータリーの新定款を起草する委員会の委員長として、地区を設け、地区ガバナー職をつくり、年次地区大会を確立しました。
国際ロータリー会長の時の国際大会で「ロータリーが基金を創り、全世界的な規模で、慈善、教育、その他社会奉仕の分野で何かよいことをしようではないか」と提案しました。最初の寄付は26ドル50セントでした。
1928年のミネアポリスの大会で基金の名称がロータリー基金から、ロータリー財団に改称されました。しかし1932年の基金の残高はまだ5万ドルに過ぎませんでした。
この当時管理委員の一人であったアーチ・クランフは「我々はこの財団を今日、明日の時点ではなく何年、何世紀の尺度で見つめるべきです。なぜなら、ロータリーは幾世紀にもわたる運動だからです」と述べております。
財団は1947年ポール・ハリスの逝去後全世界からポール・ハリスを悼み、寄付が寄せられ、最初の奨学金プログラムが実現され、アーチ・クランフは、自分の夢が実現されるのを眼の当たりにすることができました。
国際ロータリーのロータリー財団は国際ロータリーの会長が任命した15人の管理委員会が運営しています。1995年の規定審議会で管理委員のうち4人は、元RI会長で任期は全員4年と決定しました。
ロータリアンは、ロータリー・クラブを通じて人頭分担金を国際ロータリーに支払いますが、ロータリー財団は任意の寄付で支えられています。
国際ロータリー理事会と財団管理委員会は緊密に協力しています。4人の元RI会長が管理委員を務めるだけでなく、理事会と管理委員会の合同常任委員会があり共通の関連事項を審議します。RIの事務総長は、財団の最高執行役員であり、財務役員であります。RIと財団は、同じ監査人を使い、それぞれが、その計画、会合、方針、決定を絶えず報告するようにしています。
ロータリー財団地域コーディネーター(Regional Rotary Fondation Coordinator―RRFC)は、管理委員会によって任命され、財団セミナーを運営すると共に情報を提供したり、助言をしたりして地区を指導しています。日本からは第1ゾーン、第2ゾーン、第3/第4ゾーン担当の3人が任命されています。
そして2005年7月からは大口寄付アドバイザー(Major Gifts Advisor―MGA)、年次寄付アドバイザー(Annual Programs Fund Strategic Advisor―APFSA)がゾーンに2~3名任命されます。
地区ロータリー財団委員会(District Rotary Foundation Committee―DRFC)の役割と責務は、2003-04年度から大きく変わりました。地区ガバナーは、DRFC(地区ロータリー財団委員会)の職権上の委員となります。DRFCと現職のガバナーの兼任はできません。DRFCの委員長には、パスト・ガバナーを指名することが望ましく、その任期は3年ですが、理由があれば解任される場合もあります。DRFC委員長を任命しなければDDF(地区財団活動資金)を利用することができなくなりました。DRFCは八つの小委員会(1.補助金 2.年次寄付 3.恒久基金 4.奨学金 5.研究グループ交換 6.ポリオ・プラス 7.学友 8.世界平和フェローシップ)で構成されます。補助金委員会と年次寄付委員会は必ず設置するよう要請されています。
ロータリー財団の父といわれるアーチ・クランフは1916~17年度国際ロータリーの6人目の会長に就任しました。その会長のときの国際大会で「ロータリーが基金を創り、全世界的な規模で、慈善、教育、その他社会奉仕の分野で何かよいことをしようではないか」と提案しました。最初の寄付は、アーチ・クランフ会長への記念品の購入資金であった26ドル50セントがカンザス・シティーRCから寄せられました。
1928年のミネアポリスの国際大会で基金の名称がロータリー基金から、ロータリー財団に改称され、元RI会長5人の管理委員が財団を運営することになり、このとき国際ロータリーとは別に管理することが規定されました。しかし1932年の基金の残高はまだ5万ドルに過ぎませんでした。
最初はアーチ・クランフの夢は単なる夢に過ぎず、何の効果もなく年月が経過しました。財団は国際社会に奉仕することを目指しましたが、ロータリアンの心に訴えることはできなかったのです。1947年1月27日にポール・ハリスがシカゴの自宅で亡くなりました。ロータリー財団はポール・ハリス記念基金を呼びかけ、翌年の7月までに130万ドルの寄付が集まりました。そして、現在国際親善奨学金と呼ばれる奨学金プログラムが実現されました。アーチ・クランフは、自分の夢が実現されるのを眼のあたりにすることができました。
財団の発展はプログラムを開発したときに始まりました。世界中のロータリアンの心をとらえたのはプログラムだったのです。奨学金、マッチング・グラントなどのプログラムはロータリーの理想を掲げ、はぐくむものばかりでした。1978年の理事会でRIの75周年記念として3-Hプログラムが決定されロータリーは個人奉仕から一歩踏みだし新しい道を歩みだしました。この3-Hプログラムからポリオ・プラス・プログラムやロータリー・ボランティア・プログラムが生まれました。
2003年7月1日からは地区補助金がスタートしました。ロータリー財団は国際奉仕と思われていた点を大きく変換させたプログラムで、自国内の社会奉仕にもロータリー財団補助金が使えるようになりました。財団プログラムも世界のニーズと共に多様化されています。
ロータリー・クラブや地区は、他の国のために尽くしたいと思い実行に移そうと考えています。そのようなときに役に立つのがマッチング・グラントです。ロータリー・クラブが他の国のロータリー・クラブを援助するのが世界社会奉仕であり、そのプロジェクトにロータリー財団の補助金を申請しますとマッチング・グラントになります。2カ国以上のロータリー・クラブが協力しあい、それを補うのがマッチング・グラントです。援助を受ける地域をホスト・パートナーと言い、援助するほうをインターナショナル・パートナーと言います。
プロジェクトは人道的性格のものでなければなりません。奨学金プログラムがありますので、教育的プロジェクトにはマッチング・グラントは授与されません。建設、改築、運営費などに補助金を使うことができません。識字プロジェクトは教育的プロジェクトではなく人道的プロジェクトと分類されており、人件費は通常認められませんが、識字プロジェクトに限り、講師への謝礼が認められています。
補助金の算出に際しては、DDFに対しては1対1、現金に対しては1対0.5となります。
25,001ドル以上150,000ドルのマッチング・グラントの場合は、競争制の補助金で8月1日と1月1日の年2回の締め切り日があります。競争制の場合は、審査がありますのでどのような優れたプロジェクトでも、もっと優れたプロジェクトがあれば承認されない場合もあります。25,000ドル以下の非競争制の補助金は所定の書類が整っていれば承認されます。
2005年7月1日より、小口のマッチング・グラントは廃止されます。これまでマッチング・グラントに上限が設定されたことはありましたが、下限は設定されていませんでした。ですが、補助金の額にして5,000ドルから15万ドルとなり、上限も下限も設定されました。ということはクラブや地区の提唱者側負担分は現金の場合、10,000ドル、DDFの場合、5,000ドルとなります。DDFと現金の場合は、その組み合わせに基づいて算出します。海外の援助提供者側が寄付金のかなりの部分を調達しなければなりません。プロジェクト実施地側は、ゼロでも差し支えありませんが、2006年7月1日より100ドル以上寄付しなければならないことになりました。
地区補助金は2003年7月にスタートしたロータリー財団の新しいプログラムです。地区やクラブが実施する人道的な社会奉仕プロジェクトまたはロータリー・クラブのない国またはほとんどない国のプロジェクトに、この補助金を使うことができます。
この補助金は、マッチング・グラントと異なり、地区がプロジェクトを実施する前年度の3月31日までに財団に総枠を申し込みます。新年度がスタートすると、補助金が地区に振り込まれます。地区が、地区内クラブのプロジェクトまたは地区プロジェクトを選考し、補助金を授与します。ロータリー財団にはプロジェクト終了後、最終報告を提出するだけです。
プロジェクトの例として次のようなものがあります。
1)ロータリアンが行う植樹
(植樹を目的とする現金の寄贈は対象となりません。)
2)病院や養護ホームで不特定多数の人が利用できる車椅子等の寄贈
(特定の人に対する寄贈は対象となりません。)
3)災害の被害地に救援物資の寄贈
(金銭の寄贈は対象となりません。)
4)識字向上のための在日外国人団体等への図書の寄贈
地区補助金は原則的に1年程度で終了し、支出が確定するプロジェクトが対象となります。建設や改築などのプロジェクトは対象となりません。また、奨学金の支給のような教育関連のプロジェクトも対象となりません。
また、贅沢品の贈呈、人道的性格に欠けるプロジェクトも対象になりません。対象にならないものに注意を払えば、プロジェクトの範囲はクラブの創意で無限に広がります。
先進国では好評のプログラムですが、年次寄付に基づくDDFの20%が上限となっています。手続がマッチング・グラントより簡素化されていますので、英文ではDistrict Simplified Grantと言います。
国際親善奨学金プログラムは、1947年に発足したロータリー財団の最初のプログラムで、民間レベルとしては世界最大規模の奨学制度です。ロータリー財団の奨学金の目的は学生が他の国の教育機関で勉学することによって国際間の理解と友好を増進することに寄与することです。
奨学金プログラムは、発足以来これまでに37,000人以上の奨学生に勉学の機会を提供してきました。現在は毎年800名から1,100名の財団奨学生が海外で勉学するだけでなく、ロータリーの活動や地域の行事への参加を通して親善使節として貢献しています。
国際親善奨学金制度には次のようなものがあります。
1) 1学年度(9カ月)の国際親善奨学金
2001-02プログラム年度より旅費を含めた上限支給額は25,000ドルです。支給額は2006-07年度から26,000ドルとなります。
2)マルチ・イヤー国際親善奨学金
これは、学位取得を目的とする2年間の奨学金です。支給額は2004-05年度は1年につき12,500ドル、2006-07年度より13,000ドルとなります。奨学生はホスト国の言語に堪能でなければなりませんし、学位を取得できる教育課程に登録しなければなりません。
3)文化研修のための国際親善奨学金
これは、3カ月または6カ月の語学研修と相手国の文化に溶け込むことを目的とするプログラムです。上限支給額は、現在3カ月の場合12,000ドル、6カ月の場合19,000ドルとなっています。
4)ジャパン国際親善奨学金
この奨学金は海外の奨学生に日本で、日本語および日本文化を学ぶ機会を提供することを目的としていましたが、2007-08プログラム年度より廃止されます。
2005-06年度には日本から232人の奨学生を海外に派遣し、27人を海外から受け入れます。毎年、国際親善奨学生の募集要項が各大学に送られます。応募者はクラブの推薦を受けなければなりません。応募者を推薦するクラブは、10月1日までに地区を通して日本事務局財団室に申請書を提出します。12月15日までにそれぞれの応募者に指定校が通知されます。学生は6校(指定校1校、承認校5校)まで受験できます。
ロータリーは毎年、国際理解と平和を推進した個人や団体を表彰する「ロータリー国際理解と平和賞」を授与しており、これまでにカーター元米国大統領、緒方貞子元国連難民高等弁務官等が受賞されました。また、世界各地で「ロータリー平和会議」を開催し、政府代表や国際関係の専門家と共に、紛争解決と平和を確立する方法を考え、活動しています。
このような活動を基に、ポール・ハリス没後50周年と財団の教育的プログラム創設50周年を記念して、財団管理委員会は国際関係を研究するためのセンターを世界各地に設立する計画をたてました。この計画は2002年に実行に移され、世界の7カ国の8つの大学に「紛争の解決と平和問題研究のためのロータリー・センター」が7か所設置(デューク大学とノースカロライナ大学チャペルヒル校で一つのセンター)されました。日本では、国際基督教大学がロータリー・センターのひとつに指定されています。
ロータリー・センターで学ぶ奨学生を世界平和奨学生と呼んでいましたが、2005年2月の管理委員会で、世界平和奨学金を世界平和フェローシップに、世界平和奨学生を世界平和フェローに改称しました。
地区は世界平和フェローシップに毎年1人の候補者を推薦できます。世界中の地区から推薦された候補者の中から70人までの世界平和フェローが選ばれます。候補者は申請時に学士号をもっていなくてはなりません。既に修士号や博士号をもっている候補者も応募できます。候補者はこのプログラムの目的とする分野で3年ないし5年の職歴を必要とし、ホスト国の言語を含めて2カ国語以上に堪能でなければなりません。
1期生と2期生の世界平和奨学生のために、50,000ドルを寄贈した地区はパイオニア地区になりました。3期生以降の奨学生のために50,000ドルを寄贈する地区は平和推進地区になります。両方を寄贈すると、平和推進パイオニア地区と呼ばれます。日本のすべての地区がパイオニア地区、平和推進地区、平和推進パイオニア地区のいずれかになっています。
日本からは、これまでに1期生から4期まで11人が世界平和フェローとなりましたが、内1人はカナダ在住6年で、カナダの地区から推薦されました。
研究グループ交換(GSE)は、1965年にスタートしたロータリー財団国際交流プログラムです。24歳から40歳までのチームメンバー4人とロータリアンのチームリーダーがGSEチームを構成し、2カ国がGSEチームを交換し、4週間から6週間に亘って相手国を訪問して互いの国の文化や職業について学ぶもので、2004-05年度には446チームがGSEに参加しました。日本からは申請は比較的少なく、例年20地区位がこのプログラムに参加しています。
ロータリー財団への寄付(主として年次寄付)は年度末に集計し、50%がWF(World Fund―国際財団活動資金)となり、世界のために使われ、50%が地区の指定するプログラムに使われるDDF(District Designated Fund―地区財団活動資金)となります。
寄付額にかかわりなく、すべての地区は、WFを使って、1口のGSEを申請する資格があり、また申請するよう奨励されています。WFを使うGSEは、2002-03年度から隔年実施でしたが、2005-06年度より毎年実施できるようになりました。
地区によっては、DDFを使い、二つ目のGSEを実施するところもあります。
GSE のチームメンバーはフルタイムで雇用されていて、2年間の職歴がなければなりません。これは、チームメンバーがホスト地区で同じ職業に従事している人と交流し、異なる文化の中で自分の職業がどのように遂行されているのかを知ることが重要なこととされているからです。
ロータリー財団がチームの往復旅費を支給し、ホスト地区が宿泊、国内の旅行、地区内の見学等の費用を負担します。また、地区はGSE語学研修補助金等を財団に申請することができます。
クラブでGSEメンバーの例会出席やホームスティ、名所の案内、職業研修の場の提供などの要請を受けた場合は、ぜひ積極的に協力をお願いします。受け入れに協力するロータリアンにとっても国際交流を体験する貴重な機会になります。
1980年代の初めに、ロータリーは世界中の児童にポリオの予防接種をしようという意欲的なプログラムを計画し実行に移しました。この当時ポリオの予防接種を受けている児童は世界で20パーセントに過ぎないと推定されていました。
1985年にロータリーは政府やWHO等の国際的保健機関と協力して、児童にポリオ、はしか、ジフテリア、破傷風、百日咳、結核の予防接種を行うために1億2千万ドルを集めるという目標を発表し、それから2年の間にこの2倍の金額を集め、政府や保健機関と協力して、予防接種を希望するすべての開発途上国にワクチンを提供しました。
このような活動により、1990年には米州地域で、2000年には西太平洋地域で、2002年にはヨーロッパ地域でポリオ根絶宣言が出されました。しかしまだ世界の十数カ国でポリオの発生が報告されています。ロータリーは2002-03年度ポリオ撲滅募金活動キャンペーンを実施しました。全世界で8,000万ドル集めようという目標です。
日本では3年間(2002年7月から2005年6月まで)に1,600万ドルを集めることを目標としました。世界では1億3,500万ドルと目標額を5,500万ドルを上回りましたが、日本では惜しくも1,600万ドルに達しませんでした。
ポリオの発生は99%の減少という素晴らしい成果を上げましたが、2004年初めにナイジェリアでワクチンの安全性に疑問をもたれ、予防接種が一時停止されたときがあり、周辺諸国にポリオが広がり、2005年9月27日現在、ポリオの症例数は、1,273件です。下記の通りです。
イエメン:470件、ナイジェリア:451件、インドネシア:240件、インド:30件、スーダン:26件、パキスタン:17件、エチオピア:16件、アンゴラ:7件:ニジェール:4件、アフガニスタン:4件、マリ:3件、ソマリア:2件、チャド:1件、カメルーン:1件、エリトリア:1件。
私たちのロータリー財団が地域社会や国際社会への奉仕をさらに高めていくためには、奉仕活動の充実と資金面の援助が大変重要になります。
この両者のバランスが十分よくとれてこそ、初めて貧困や飢餓、疾病や障害に悩み、苦しんでいる全世界の人たちのために奉仕し、世界理解と平和に貢献するという私たちの目的が達成できるのです。
ロータリー財団のいろいろなプログラムを支えるのは皆さまの寄付です。寄付のための寄付でなく、プログラムを実施するために必要な資金を集めるという目的があります。寄付を集め、その資金を3年間投資し、3年後のプログラムに使います。
ロータリー財団は1917年のスタート当初から30年間、寄付が集まらず、停滞しました。1947年にポール・ハリスが亡くなると、その死を悼み、世界中から寄付が寄せられました。そして国際親善奨学金プログラムが発足しました。
寄付が奨学金プログラムにおいて結実していく中で、ロータリー財団は大きく発展していきました。ロータリー財団は次々と新プログラムを開発していき、それにつれ寄付が増えてきました。
ロータリアンの心をとらえるプログラムを開発し、維持増進していくには皆さまの寄付が必要です。ロータリーの歩みを振り返れば、最初のトイレ建設という社会奉仕プロジェクトから始まり、近年はロータリー財団のプログラムが特に目立つようになっています。
6人目のRI会長のアーチ・クランフがロータリー財団という概念をロータリーの中へ導入しなかったら、ロータリーの今の発展はなかったかもしれません。
ロータリー財団の財政、ロータリー財団の成果については、毎年、発行されています年次報告を参照して下さい。
ロータリー財団寄付の種類は大きく三つに分けることができます。
年次寄付
恒久基金寄付
使途指定寄付(ポリオ・プラスなど)
その一つの年次寄付は、使途を決めない寄付で、3年間投資された後に、地区の希望を汲んだうえ、プログラムに全額使用されます。すなわち2003-04寄付年度のものが2006-07プログラム年度へと使われるわけです。皆さまの貴重な寄付金が人件費や事務費に使われることはありません。
年次寄付を増やそうというメッセージが、“Every Rotarian, Every Year”(毎年あなたも100ドルを)で、会員ひとりひとりがロータリー財団に寄付するようロータリー財団からお願いするものです。寄付は任意であり、強制するものではありませんが、“Every Rotarian, Every Year”の推進は、2004年RI規定審議会でも決議されています。
2004-05年度の世界の1人当たりの寄付は100ドルに到達しませんでしたが、日本の1人当たりの寄付は100ドルを上回りました。しかし、寄付ゼロ会員は日本に1,500人以上、寄付ゼロ・クラブも67あります。
クラブ会員全員が毎年100ドル以上寄付しますと、100%財団の友クラブになります。クラブ会員全員が何らかの寄付をしていて、その平均額が100ドルを超えていますと、たとえ、一部のクラブ会員が、100ドル未満の寄付であっても、EREYクラブと言います。
財団の友はクラブだけでなく、個人も財団の友になれます。毎年100ドル以上寄付することを約束した人が財団の友です。昔のポール・ハリス準フェローと似ていますが、準フェローが寄付の累計1,000ドルでポール・ハリス・フェローになって目的を達するのに対し、財団の友はポール・ハリス・フェローになっても100ドルを寄付し続けるものです。
PHF(ポール・ハリス・フェロー)の人が、1,000ドル寄付した場合、自分が1回目のMPHF(マルチプル・ポール・ハリス・フェロー)になった上に、他の人を一人PHFにすることができます。これを認証ポイント(以前の据え置きクレジット)と言います。また、他の人に500ポイントの認証ポイントを与え、その人に現金で500ドルを寄付してもらいPHFになってもらうこともできます(マッチング・クレジット)。この認証ポイントは、3年で失効していたときもありましたが、1998~99年度以降、失効することがなくなりました。認証ポイントは他の人にあげることができますが、亡くなった方,退会した方のポイントは使えません。他クラブの人のポイントは、譲る人が承認すれば,受けることができます。
クラブ名で年次プログラム基金やポリオ・プラス、マッチング・グラントに寄付した場合、クラブに認証ポイントがつきます。個人で年次プログラム基金やポリオ・プラスに寄付した場合、ポール・ハリス・フェローになるための1,000ドルを上回った金額から認証ポイントがつきます。例えば累計5,000ドルに達すれば,4,000ポイントです。クラブや地区の場合、ポール・ハリス・フェローになれませんので、1,000ドル未満であっても認証ポイントがつきます。
1,000ドルの認証ポイントをもらって、ポール・ハリス・フェローになってから、1,000ドルの年次寄付をした場合、1,000ドルの認証ポイントがつき、自分がマルチプル・ポール・ハリス・フェローになったうえ、他の人をポール・ハリス・フェローに指名できます。
1,000ドルを現金で寄付した、と仮定します。その後、クラブが寄付額の同額の認証ポイントを1,000譲ってくれました。この場合、マルチプル・ポール・ハリス・フェローにはなりますが、認証ポイントはつきません。
ポール・ハリス・フェローになってから年次プログラム基金やポリオ・プラスに現金で寄付しますと、認証ポイントがつきます。ポール・ハリス・フェローになってから、認証ポイントをもらっても、マルチプル・ポール・ハリス・フェローにはなれても、認証ポイントはつきません。
年次寄付は3年後にすべて使われます。ロータリー財団が、好不況に関係なく、プログラムを継続できるように、1980-81年度に、ロータリー財団は世界理解と平和のためのロータリー財団基金の設立を決定しました。
この基金への寄付は、投資され、その収益だけが財団プログラムの支援に使われます。1994年11月に、この基金は、ロータリー財団恒久基金と改称されました。年次寄付の認証がポール・ハリス・フェローであるのに対し、恒久基金寄付への認証はベネファクター(後援者)です。ベネファクターとは、その資産計画に財団を含めるか、恒久基金に少なくとも米貨1,000ドルを寄付した人のことです。ベネファクターの認証には、そのための証書、ポール・ハリス・フェローのピンまたは他のロータリー・ピンと一緒に着けることのできる記章が含まれています。
2005年6月30日現在、ベネファクターの数は約68,076人です。2005年8月31日現在の恒久基金の純資産は1億5,780万ドルです。収益予測額は、2億9,800万ドルです。
遺贈友の会
恒久基金に遺贈することもできます。これは生前、ロータリー財団に資産の一部を贈ると遺言することです。遺贈そのものには金額の規定はありません。但し、10,000ドル以上の遺贈を約束しますと、遺贈友の会のメンバーとなります。遺贈友の会のメンバーにはクリスタルの置物を贈りますし、メンバーはベネファクターとして認証されます。遺贈友の会のメンバーは2005年8月31日現在4,459人です。
アーチ・クランフがロータリーの理想を推進するための基金の概念を最初に提案したとき、ロータリアンが基金寄付を栄誉や特権と思うようなものを考えていました。そのちょっとしたアイディアがどこまで発展するかアーチ・クランフは想像できませんでした。時代の試練に耐えうる財団を築くうえで、今日、恒久基金寄付は、重要な役割を果たしています。
寄付を最も有効に使うことのできるような方法の一つが3年サイクルのシェア・システムです。年次寄付は3年後のプログラムの費用として保管しておきます。3年サイクルによって、地区はプログラムを計画したり、奨学生を選考できます。この間、財団は、寄付金を投資して、管理、プログラム運営、寄付増進費用とします。その結果、寄付金は一銭残らず3年後にプログラムに使うことができます。これがシェア・システムです。シェア・システムにより、ロータリー財団は、世界の大規模な非営利団体の中で最も効率のよいものの一つとして評価されています。
すべての地区年次寄付は、寄付年度末に集計され、二つの活動資金に分けられます。60%(2003‐04寄付年度は2006‐07プログラム年度に使われますが、この年度から、50パーセントになります)は地区財団活動資金(District Designated Fund--DDF)として、地区が使い道を決めることができます。残り40パーセントは国際財団活動資金(World Fund--WF)と呼ばれ、ロータリー財団がマッチング・グラントやGSEなどに効果的に使っていきます。
例えば、奨学金や地区補助金、大学教員のための補助金は、原則としてDDFを使い、個人向け補助金(凍結中)とGSEはWFを使います。マッチング・グラントは、WFもDDFも使います。
2005-06年度まで恒久基金寄付は、冠名奨学金基金を除き、利息の60%がDDFで、40%がWFです。2007-08年度からは、50%ずつとなります。2006-07年度に限って、恒久基金利息の支出が凍結されました。ポリオ・プラス・プログラムは使途指定寄付によって資金を調達し、要請があれば、すぐ使いますので、WFもDDFも関係ありません。2004-05年度までは、地区はDDFを、教育的分野、人道的分野、プログラム強化分野、寄贈分野の四つに配分していましたが、2005-06年度より、配分の必要はなくなり、地区のもっているDDFだけ通知され、その中から地区が奨学金、地区補助金などに随時DDFを使うようなシステムとなり、使いやすくなっています。
規定審議会はRIの立法機関で、RIの組織規定を改正する権限を有します。この権限のよりどころは、RI定款の第10条およびRI細則の第7条と第8条にあります。規定審議会は3年に1度、4月、5月または6月、できれば4月に召集されるものとします。最終的にはRI理事会が審議会の日程を決めます。財政的その他やむを得ない理由によりRI理事会全体の3分の2の賛成票によって、別段の決定をした場合を除き、審議会はRI世界本部の近辺(シカゴが多い)にて開催されます。
立法案を提出できるのは、クラブ、地区大会、RI理事会、審議会、グレート・ブリテンおよびアイルランド内RI審議会または大会です。立法案は、制定案または決議案という形で審議会に提出することができます。地区ガバナーは、ロータリアンからなる小規模の委員会を任命するよう推奨されています。このロータリアンは、地区内から提出される立法案を検討し、このような立法案について地区大会でロータリアンの力となり、報告するため、規定審議会に出席したことのある人が望ましいとされています。
RI定款細則または標準ロータリー・クラブ定款を改正する意図を持つ立法案が制定案です。制定案は、組織規定の関係条項の全文を明記して提出しなければなりません。削除する文章には削除のしるしをつけ、新しく文章を付け加える場合にはその全文を明確に示さなければなりません。
ロータリー・クラブが立法案を提出する場合、その案件はクラブの理事会から会員に提出され、正式に採択されたものでなければなりません。その案件は採択されたことを証明するクラブ会長と幹事の署名した書簡を添えてガバナーに送付します。そしてクラブの立法案は必ず地区大会に提出の上、この立法案に対する賛否について表決を受けます。
時間的余裕のない場合は、ガバナーの実施する郵便投票を通じて地区内クラブに立法案を提出することもできます。クラブから事務総長に提出される立法案は、地区内クラブがその立法案を正規の手続きで審議し、賛成したことを明記したガバナーの証明書を添付します。地区が立法案を提出する場合、その案件は地区大会か、クラブの郵便投票によって採択されたものでなければなりません。