沼田ロータリークラブ



社会奉仕委員会 2011−2012年
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社会奉仕委員会 第8回出前講座

 社会奉仕委員会では、第8回目の出前講座を 2月10日に沼田市立沼田東中学校全校生徒172名とその保護書60名、中学校職員16名と生徒指導連絡協議会会員16名に行いました。
詳細は下記の通りです。

  1. 日時 平成24年 2月10日(金) 午後2時40分〜
  2. 対象 沼田市立薄根中学校全校生徒 172名
    保護者 60名
    職員 16名
    生徒指導連絡協議会会員16名
  3. 講師 永井 彰一(永井酒造株式会社)
  4. 演題 「扉を開く」
  5. 内容
    1. 永井先生の経歴(永井酒造を継ぐまで)
      • 川場村立川場小学校 → 川場中学校 → 群馬県立沼田高等学校
      • 高校卒業後2年浪人の後、法政大学法学部へ入学する。しかし、あまり学業に身が入らず、親が心配して政治家の書生となる。(参議院議員会館)大学生の頃から実家の酒を大学の文化祭などで販売し、ある程度の利益を上げていた。また、販売を通して知人もできる。
      • 大学卒業後、親から家業を継ぐように言われるが、スキー場の設計の仕事がやりたく、カナダに留学する。その費用には学生時代に酒を販売した利益を充てる。カナダでの入国審査では発音が悪く言葉が通じなかった。英語には自信をもっていたので大変ショックを受ける。そこで、語学学校に入学して英語を学ぼうとするが、言葉の壁で自信をなくし、日本に帰りたくもなった。しかし、3ヶ月間の学習で少しずつ現地の発音を理解してコミニュケーションもとれるようになり、カナダのスキー場で働けるようになった。 スキー場の設計に関する仕事が学べる、カナダでも有名なスキー場から誘われたので、ビザの手続きをするためにいったん日本に帰国した。ところが、両親からカナダへ戻ることを断念するように諭され、仕方なく家業を継ぐことになった。
    2. 永井酒造を継いで  
      • 学生時代からの知り合いである世田谷のある酒屋さんから「もっと、いい酒を造れ」と言われる。いろいろな酒蔵を見て回ているうちに、始めは嫌だった家業も酒造りの楽しさを感じるようになってきた。そんな中、新しい商品「水芭蕉」を開発し、都内で販売すると人気が出て売れた。酒造りに本腰を入れ、11億円を借り入れて新しい酒蔵を建てた。現在では45都道府県で販売をしている。
      • 国内だけでなく、海外でも販売している。昨年は17カ国を訪問した。移動距離は37万km以上。外国に会社を持ち、現在では4つ会社の社長を兼務している。
      • 群馬にいて酒の販売ができるのは、語学力、つまり英語を話すことができるからである。タイでは高校3年間しか英語を学ばないが、十分会話ができる。韓国と日本以外の国では英語ができれば相手の国の人とコミニュケーションがとれる。アメリカンのオバマ大統領は簡単な英語で演説をしている。機会があれば聞いてほしい。また、アメリカでは英語以外にもう一カ国語話せる人が多い。外国語を学習している。中学生の皆さんも、ぜひ、英会話ができるようになってもらいたい。 
    3. 天使に会う話
      • ビル=ゲイツ(マイクロソフト社創業者)がこんなことを言っている。「私は特別ではないが努力はした。人は一生の中で3回天使にあう。(天使の髪の毛を3回さわれたら願いが叶うと言われている。)人は3回天使にあえるのだが、残念なことに99.9%の人は天使の存在に後で気付く。あの時のあれが天使だったのか・・・と。」生徒のみなさんにも必ずそういう機会があるはずです。 
    4. 有言実行:夢は叶う〜扉は開く
      • フランス人と話をしているうちに、シャンパン風の日本酒ができないかということになった。会社の多くの人はできないと反対したが、試作品をつくっているうちに、ついにシャンパン風の日本酒の製造に成功した。特許を取り、国内だけでなく海外からも注目されている。自分でやると言ったことは実現できる。つまり、有言実行である。だから、「あきらめないこと」、「やってみること」が大事。
      • 自分の夢に対して手を差しのべてくれるのは両親・家族である。私が親に本気で感謝したことが3回あった。1回目は、初めて給料をもらった時。2回目は親が亡くなり、親のありがたさが分かった時。3日目は自分の子ができ、親となった時。親が本気になって怒るのは子どもが可愛いからである。愛情があるから怒る。愛情を受けていることを忘れないでほしい。きっと学校の先生が怒るのもそうだと思う。
      • 4つの会社を経営しているが、自分一人では何もできない。スタッフの支えがあったこそ会社が成り立つ。人と人との支え合い、コミュニケーションが大事。だから、メールで仕事のやりとりをしても最後には必ず相手と会う。合って話をすることが大切。また、相手のすばらしさも分かる。  
    5. 無常迅速
      • 無常迅速=禅のことば・・「人生はあっという間に終わる。限られた時間しかない。だから、今やれることは今やる!」という意味。後回しにすると失敗をする。失敗をおそれずに取り組むことが大事。一日一日をムダにせずに生きてほしい。
      • 現在、家族(妻と小4・小1)は米国に住んでいる。子どもは米国の小学校に通っている。米国の小学校は宿題が多い。月〜木に宿題が出て、小4で毎日4時間くらいかかる。小1でも50分くらいはかかる。
      • 米国は自由の国だと言われているが日本より厳しい面ある。私の子どもたちへの宿題がそうである。また、酒とタバコは子どもが触れただけでも親が逮捕されるし、子どもを 不登校にすれば親が逮捕される。自由を守るためには最低限の義務を果たすことが求められている国である。
      • 外国に出張に行くと、その国の教育事情も分かる。ドイツは12歳で自分の進路を決めその道の学校に行かなければならない。シンガポールでは小学校4年生で進路を決める。医師・歯科医師・薬剤師は大卒でないとなれない。日本は進路を決める時間は比較的十分にあるので、それは子どもたちにとってもよいことかもしれない。
      • 今日の私の話では、「無常迅速」という言葉と「人は人生の中で天使に3回会う」ということを覚えておいてください。
  6. 感想
     あまり関心のなかった家業を継いだわけですが、仕事を進めていくうちにその魅力にとりつかれ、さらに大きなビジネスチャンスを引き当てたそのバイタリティはすごいと感心しました。 特に、国内だけでなく海外へも販路を拡大していることはすばらしいと思いました。よく「グローバルな視点で物事を考える」ということを聞きますが、永井さんはまさに実践されている。 しかも利根沼田を拠点としている会社で実践しているという事実は、生徒にも感銘を与えたと思います。また、海外進出をなしえている根底には、やはり英語力があります。 永井さんは苦労されながら米国で語学の勉強をされたわけですが、生徒たちの多くが永井さんと同じような経験ができるわけではありません。でも、講演の中にあったタイ人の英会話能力の高さは、 生徒にも本気でやれば国内にいても英語が話せるようになる」という自信を与えてくれたと思います。
     永井さんの「無常迅速」という信念と何ごとにも「あきらめないこと・やってみること」という強いチャレンジ精神が「天使に会えた」という機会を見逃さなかったのだと思います。 お忙しい中、貴重な講演をいただき、大変ありがとうございました。